NHK BSプレミアム「旅のチカラ ホスピタルアートの聖地を行く スウェーデン」を観ました。スェーデン、ウプサラ市の病院にはなんとアートディレクターがいます。建設中の精神科病棟の真ん中には大木(グラスファイバー製)をすえた吹き抜けをつくり、人が行きかう、開かれた空間が設計されていました。

訪問者は版画家の山本耀子さんでした。父の病院の殺風景な病室での死の体験から、天井画を手がけるようになったといいます。

児童病棟も、幼稚園のようなデザインではなくて、シックな色遣いで、子ども達がその環境で自ら輝けるように設計されています。点滴しながら眺める天井画は、そのまま外の空につながる素敵なデザインとなっていました。

当センター設計の際にも、「病院らしくない病院」(治療の場であるとともに生活の場である環境づくり。治療からふつうの生活への展開ができる病院。)という考えでいました。今回、病棟入口に飾っている木下五郎先生の作品「もり笑(え)む」と新しいデイケア棟に飾る予定の加島祥造先生の「おゝいま生きずして」が揃うことで、「生命の木」となり当院と患者さんに力を与えてくれると信じています。


「もり笑(え)む」

日展会員 木下五郎先生

日展会員 木下五郎先生

(コンセプト)共生の尊厳

(作品解説)

日本には古来より巨木に精霊が宿り、民の健やかな営みを見守ると言い伝えられてきました。豊かな緑の大地こそ、生きとし生ける物が存在を謳歌する為の「母なる森」の象(かたち)です。
共生の源は、地球という「母なる森」の永久(とわ)なる健康な環境にあります。


「おゝ いま生きずして」

詩人 墨彩画家 加島 祥造 先生

詩人 墨彩画家 加島 祥造 先生

おゝ いま生きずして

おゝ
いま生きずして
いつ生きる
忘れないでほしい
君の命は君を
誰よりも愛しているのだ

君が独りの部屋にいたゝまれなくて
雨の町を歩いてゆき
訪ねたいひとは誰もいない とはっきり悟った時も
そして沈んだ心が水溜りとなり
うしろから来た車がはね散して
君が泥まみれになる時も
命は君と共にいてくれるのだ

それは君が
限りなく好いあの夕映えを見たくて
冬の谷をあがり
赤松の林をぬけてついに
西の雪嶺のつらなる空を見る
だがすでに光は褪せはじめ
灰色の断雲と寒気に追われて
ひとり暗まった徑を下ってゆく時も
君と共にいるのだ

おゝ
忘れないでほしい
君の命は誰よりも
君を愛しているのだ
いま生きずに
いつ生きるのか