去る7月には、信州大学医学部の鷲塚伸介准教授に「『今日の』気分障害について」講演をしていただきました。診断基準の変更やSSRIの出現、そして時代とともに変わるうつ病の病像変化、さらには双極Ⅱ型障害まで、内容は多岐にわたりました。

うつ病の患者さんがのめりこみやすい仕事については、科学技術革新、終身雇用制の崩壊,製造業の外注化、分社化、就業形態の多様化、そしてリストラに伴う早期退職者の増加などにより、質も内容も大きく変化しました。完全失業率が増加する中では、仕事への意気込みや取り組み方も変わらざるを得ません。

うつ病の有病率は高いので、診療上だけでなく、自分の身の回りにも経験することがあるので確かに病気だと実感します。しかし、良くなるとすぐに仕事に熱中してしまう人の場合には、再びこころのバランスを失いがちです。薬物療法だけでなく休養指導や、時には生活指導も必要になります。人生に対する見方を変えるようになれば、相当楽になります。体験談も多く出ているので参考になります。

ところで、新病院になり外来を初めて訪れる患者さんが急増しました。建物も病院名も新しくなり敷居が低くなって、うつ病や適応障害の患者さんが気軽に受診できるようになったためです。初診予約制にして一日当たりの患者数の平準化をはかっていますが、近隣にメンタル・クリニックが2か所しかないので、再診患者さんが増える傾向も続いて発生しています。今後は、地域のかかりつけ医との連携が必須になると思われます。精神疾患も「5疾病」に入ったので、特殊医療と考えずに、地域医療の枠組みでとらえることが必要です。

再びドラッカーの言葉「うまくいかなくなるきっかけは、成功しているときである」を思いだしています。今のセンターの「強みと弱み」を知って、出来ることから積み上げてゆきたいです。11月から、A2病棟を精神科急性期治療病棟とします。