お伊勢参り以来、「忘れる」ということが気がかりになっています。単に記憶が欠落するだけでなく、選択という要素があります。たとえば精神科医の場合は、患者さんの家族関係はよく覚えているが、肝機能検査結果はすぐ忘れてしまいがちです。

最近、シーナ・アイエンガーが「選択の科学」を提唱して注目を浴びています。商品の種類が多すぎるとかえって消費者は購入しないという研究が有名ですが、私が興味深かったのは老人ホームの話でした。ある階では一人一人に鉢植えを配り看護師が世話をする。木曜日と金曜日の映画会には予定を組んで連絡する。ほかの階の入居者を訪ねることが許されている。一方、別の階では、好きな鉢植えを選ばせて自分で管理してもらう。映画会はどちらの日に見ても良い。お互いにの部屋を訪ねて、好きなように過ごすようにすすめられる。さて両者を比較すると、後者の方が満足度だけでなく、健康状態が良好で、そして死亡率まで低下したといいます。精神科医療のあり方に直結する話です。さらに熟慮や自己認識にまつわる話も面白そうです。

深夜に再放送された白熱教室では、ブレイン・ストーミング(ブレスト)について講義していました。準備としては①多様な背景を持つ人を集める、②現場に足を運び情報を集める、③まずは一人でブレストをおこなう、が必要だといいます。

そして実施時の約束事は、 ①批判は禁止する、②目標を明確にする、③どんなアイディアでも良い、④すぐに判断しない、⑤人の意見に付け足す、⑥同時にしゃべらない、⑦なるべく沢山のアイディアを出す、⑧視覚的に表現する、の8項目です。アイエンガー自身は目が見えないのに、視覚的に表現すると考える所が不思議です。空間的に把握するということでしょうか。

当センターでは、今月中に外来医療の改善についてブレストを行う予定です。急に増えた外来患者さんに対するサービス向上のために何ができるかを病院全体で考えます。