二つの講演を続けて聞きました。

一つ目は後藤雅博先生(南浜病院、新潟県)の家族教育についてのお話でした。家族に病気の原因を求めるのではなく、共働することを勧められました。Social Skills Training(SST 生活技能訓練)を病院全体で取り入れてみたところ接遇にも役立ち、職員はとてもよく挨拶するそうです。また質問に答えて、集団療法で起こったことを、個人療法にうまくフィードバックするには医師の役割が重要だと強調されました。

二つ目は信州嗜癖医療福祉研究会での大石雅之先生(大石メンタルクリニック、横浜市)の性的嗜癖の講演です。横浜市の真ん中で、依存症関係の多機能クリニックを開いておられます。性的嗜癖は幅広いですが、司法との関係を調整しつつ、外来医療に引き込むことが肝心です。成人の発達障害例に対しても、内省は不可能でも、問題行動のパターンを把握して生活指導をして効果をあげているそうです。

両者の共通点は、家族教育や夫婦面接の場面では、まず良い点を取り上げて、ほめる練習をすることでした。例えば、痴漢行為があると当然夫婦関係は冷え切っていて、同席してもすぐに話をしません。毎日一行ずつ良い点をメモして来てもらって、互いに披露してもらいます。医師は「あ、そう」と相槌を打ち否定も肯定もしません。
確かに三者面談をしても沈黙が支配して、両者を取り持つように医師だけが喋っているということが時にあるので、参考にすべき工夫だと思いました。日本語には対等の立場で相手をほめる言葉が少ないので、あらかじめ書いて準備してもらうのは良い方法です。

さて猛暑の中、長年通っているスイミングクラブのコーチが突然辞めることになり、送別会に出てきました。お礼のあいさつの中で、メンバーの一人一人をよく見てコメントされました。いわく、「長く続けてゴールドスイマーになった」「言われたことをすぐに実行できる」「練習に熱心である」「まわりの人に気を配る」「前向きに取り組む」「コーチを助けてくれる」「年をとっても記録が落ちない」「新記録を達成した」「フォームがリラックスして泳ぎがのびる」「教わったことは自主練習をする」等、ほとんどはほめる言葉です。メンバーの中には対抗心が強い方もいましたが、ほめられるのは誰でもうれしい。私もほめる言葉を工夫してみたくなりました。