新年早々に、外部からの調査や実地指導とあわただしく、気がついたら二月に入っていた。雪がなくてこのまま春かと思っていたら、雨の予報のはずが急に雪になり冷え込んだ。

新年から毎日のように合衆国大統領のニュースばかりを聞かされている。しばらく前までは、グローバリズムやTPPの波に乗り遅れないようにと聞かされていたのに、英国のEU離脱の国民投票から始まって、地球がまるで逆回転し始めたかのようだ。Twitterの世界に皆が投げ込まれて、せかせかしている。

それに比べると精神科医療の世界の変化はごく緩やかだ。以前に『アンチスティグマの精神医学』(金剛出版)から、「精神医学における七つの大罪」を紹介した。碩学のサルトリウスはさらに、『パラダイム・ロスト ―心のスティグマ克服、その理論と実践―』(中央法規)を共著者と一緒に出している。その中で、「先進国は差別につながるスティグマを根絶した、「発展途上国にスティグマはほとんど存在しない」、「スティグマを提言するにはよく整備されたプランが必要である」、「科学はプログラムの最良のガイドである」などの11ものロストパラダイムを挙げている。そしてスティグマとその弊害をなくすためには、プログラムの優先事項の決定、ターゲッティング、そしてモニタリングと効果判定が必要だというのである。

これらの方法は、ドラッガーの経営学の話と似ている。「スティグマを撲滅することはできない」という前提に立って、具体的にやり返し続ける姿勢である。救急医療と専門医療に取り組んできたが、予防的な方向へも足を延ばせないかと初夢を見る。