当院の精神科リハビリテーションの一つに「作業療法」があります。
入院治療中に薬物療法や心身の休息などと並行して、作業療法では軽運動や手工芸、お茶会などの作業の機会を提供しています。これらを通して生活リズムの安定、達成感や自信の回復などの心身状態の回復に繋げています。
また地域で暮らす患者さんには、通院型リハビリテーションの場であるデイケアにて、作業療法士が関わることがあります。そこでは再発予防や対人関係を良好に維持する技能の習得、自己実現の達成などを目的に、より実生活に沿ったプログラムを提供しています。
作業療法は、いわば患者さんの『大切な作業』ができるようにお手伝いをするということです。『大切な作業』とは患者さんが「やりたいこと」「しなければならないこと」「周囲から期待されていること」などの意味をもっています。そしてその作業の内容や意味は一人ひとり異なります。
例えば、書道という作業は、ある人にとっては自分の世界に没頭できる趣味であり、ある人にとっては書道クラブに属し、地域の人々との交流の手段になるかもしれません。書道の先生だとすると、書道が生活を支える仕事にもなり得ます。
私たち作業療法士が『大切な作業』のお手伝いをするのは、作業療法が「人は作業を通して健康や幸福になる」という基本理念と学術的な根拠に基づいているからです。自分にとって意味のある作業に取り組むことで、心と体が動き「自分は健康だ」と感じられること、それを目標にして、患者さんと歩みを進めることができればと思っています。(作業療法士)