「喫茶店でコーヒーを飲んでいると、このアル中野郎なんでこんな所にいるんだ。みんなに迷惑をかけやがって。と暴言を言われた。屈辱だ。辛いよ。」

彼は秘めた思いを話してくれました。依存症に対する世間の風は冷たいものがあります。

「ストレスと不眠から飲み続けた。でも飲んでも問題は解決しなかった。ただただ苦しいお酒だった。」

「お酒が無かったら死んでいたかもしれない。お酒に助けられたこともたくさんあった。」

依存症になりたくてなる人はいません。ましてやだらしがないから依存症になるわけではありません。

「お酒をやめて健康的な生活を送っているはずなのにイライラする。眠れない。なんの為に生きているのか生き甲斐が見い出せない。どうなっても構わない。死んだっていい。孤独で寂しい。・・・でも本当はお酒をやめたい。生きていたい。家族と過ごしたい。」

私は、『生きていて欲しいです。』と伝えました。

しばらく沈黙があり、彼の目にうっすらと涙がうかんだのがわかりました。

患者さんを見る世間の目は厳しいものがあります。本当はやめたくて仕方ないのにどうにもならない依存症の辛さ…。大切なのはしらふでの人間関係を再構築することです。看護師との関わりはその第一歩となります。これからの人生をどう生きるのか、患者さんと一緒に考える作業を行うこと。看護師が依存症からの回復を信じ、あきらめないことが大切であり、人っていいなって感じてもらえた時、お酒をやめて生きるための少しの勇気に繋がるのかもしれません。

(薬物・アルコール依存症看護領域 精神科認定看護師)