気分の落ち込み、職場不適応、依存症などで精神科を受診される方のお話を伺うと、「小学生の時から気が散りやすく、忘れ物や聞き逃しが多かった」、「勉強は出来たが幼児期から対人関係のルールがわからなかった」「感覚過敏が多くあった」、「読み・書き・計算など、特定の学習が出来なかった」といった発達特性のエピソードをもつ方が一定数いらっしゃいます。

発達特性があると必ず精神的に不調になるわけではありません。

精神的に不調になる原因として、叱責される体験の多さ、失敗体験の多さ(成功体験の少なさ)、いじめ体験による対人関係への不安や自信の低下、社会生活での孤立感が関係しているように思います。

得意・不得意は誰にでもありますが、その「能力差」が大きい場合や、見えづらい発達特性がある場合、生まれつきの脳の特徴であると理解されずに「やる気の問題では?」、「育て方の問題では?」と誤解されやすく、ご本人だけでなく、ご家族も追い詰められてしまうことが多くあります。

回復のための支援は診療に加え、その方の得意・不得意など、自己理解を進めながら現実的な対処の工夫を一緒に考えること、そして過去の傷つきについての気持ちや問題を一緒に整理することが大切です。

「もう20歳過ぎたから」、「皆と同じように」と周囲と比較するのではなく、その人が得意なこと、したいこと、好きなことを社会的に生かせるよう、その人なりの成長を支え、オリジナルな生き方を共に模索できればと思っています。

(公認心理師)