「陸上で飛べる体でいたかった。あと1kgと決めても止められず、気付いた時にはできない体になっていた」
これは、回復した子どもが語った言葉です。
摂食症は10代の女性に多いですが、年齢、性別に関わらず全ての人がかかりうる病気です。今では小学生も珍しくありません。発症すると回復には何年もかかり再発も多いです。精神科の病気では最も死亡率が高く、自殺のリスクは一般に比べ20倍以上です。
病気の子どもたちは、勉強もスポーツもストイックにがんばるタイプが多い一方で、人間関係が苦手で自分に自信が持てず、痩せれば友達から認められると信じダイエットを始めます。次々と食事の決まり事が多くなり、ついにはその決まり事に支配され、周囲への余裕がなくなり、友達と関われず家に引きこもる、心配する家族は病気とではなく本人と闘い、結果、学校にも家庭にも居場所がなくなります。私は診療を続けて、「やりたいことができなくなり、孤独になる」ことが病気の本質だと気づきました。
摂食症の治療に薬はなく、食べずに治すことはできません。日本以外の先進国ではFBT(家族をベースとする治療)が子どもの摂食症治療の第一選択であり、孤独にせず家族が一体となって病気の子どもを救い出します。できるこころとからだを取り戻すために、医療で家族全体をサポートしたいと思っています。
(精神科医師)