元日に能登半島を襲った大地震では、多くの方が被害に遭われました。当院からは救援活動として、DPATを派遣しました。DPATとは、災害派遣精神医療チームの略で、自然災害等で発生する精神保健医療の需要に、いち早く対応するために組織されたものです。
当院のチームは1月5日に現地入りし、能登半島北端の珠洲市を中心に活動しました。元々精神科の医療資源が乏しい地域であったため、現地の先生方は大変苦労されていました。精神科の需要は一見しただけではわからないことも多く、支援の手が行き届いていない状況でした。そのような状況の中で、どのような需要があるのか、まずどこに支援を届けるべきかを整理し、必要があれば対応するということを行いました。支援に入っている他の医療チームからの相談を受けることもありました。
今回痛感したのは、平時からの人との繋がりの重要性です。能登半島は高齢化率が5割を超える超高齢社会の中で、支援者との繋がりがない高齢者の孤立が目立ちました。一方で、高齢者の普段を知る方からの情報で速やかに対応できた、というケースもありました。精神科医療では、普段から訪問看護やヘルパーといった支援を活用していますが、こういった方との繋がりを大事にしていきたいと改めて感じました。 (DPAT医師)